和のお香の歴史はとても古く、日本書紀に

推古天皇三年の夏四月に 
沈水淡路嶋に漂着れり 
其の大きさ一圍(ひといだき) 
嶋人 沈水といふことを知らずして 
薪に交てて竈に焼く 
其の烟気遠く薫る

と記述があるように相当古い時代まで遡ることができます。ここにある「沈水」とは、世界で最もトップクラスの「沈香木」のことと推測されています。香りの良い本物の沈香は、その組成から水に浮かばずに沈むところから、その名が付いたとも言われています。

その後、中世では宮中での遊戯、茶道に欠かせないアイテムとして、また武士の時代になれば精神統一のツールとして重宝されました。平安時代は「かさね」の文化、鎌倉時代は「引き」の文化。平安時代は上記の沈香はもちろん、他にも丁子や桂皮など漢薬原料も混ぜてたくさんの香木の良さが融合した香りが愛用された一方で、鎌倉時代は、ただ一種類の沈香を聞き、その産地に想いを馳せることで精神鍛錬に用いられていたとか。

江戸時代になると寺請制度が完成したこともあり、お線香なども普及。お香は一般庶民の知るところともなりました。しかし残念ながらその後、明治維新の流れによって一気に衰退の途を辿ってしまったと言われています。

ところが時代の流れとは誠に妙なものです。

令和時代のこの先の見えない不安な情勢のなかとなっては、

ひとときの癒しを誘うアイテムとして、お香はまた人気を盛り返しているようです。

ちなみに香道は日本の三大芸道「茶道・華道・香道」のひとつですが、これらは全て、「仏さまにお供えするもの」という共通点にお気づきでしょうか。有名な釈迦涅槃図では、お釈迦様の倒れられた娑羅双樹の近くに、まだ生き延びてほしいとの願いから投げ入れられたと伝わる、訶梨勒(かりろく)という香袋が描かれています。
現代に至っても、亡くなった方を弔うためにお通夜からその後の法要や毎朝のお参り、お盆にいたるまで、「日本独自のしきたり」のそばには香がお供えされるシーンが、さりげなく存在します。

日本伝統のお香の香りは、このような文化・歴史的背景から、西洋のアロマセラピーとはまた一味違って、日本人独特の、物理的に見えるものでは表現できない世界観とともに受け継がれてきました。

何でも指ひとつで欲しい情報が得られ、

「より速く・よりたくさん・より効率的に」

が当たり前の価値観として息づく現代は、
その便利さと同時に目に見えるモノや数字などにとらわれすぎて、心や伝統的なしきたりに息づく和の価値観など「見えない世界」を意識する機会が少なくなっている傾向にあります。

見えるモノだけにとらわれた結果、不安や恐怖に対抗する「心の免疫力」が薄れていき、
頭では処理できても心では処理しきれない…
そんな問題が現れてきます。
日本のお香の香りは、1500年の時を超えて受け継がれ、疲弊した現代の私たちの心に今もなお、
ほっこり優しく語りかけます。

とはいえ反対に、
見えない世界・いわゆるスピリチュアリズムに傾倒し過ぎ、地に足をつけた現実的な考え方ができない方や、心が弱っておられる方をターゲットに霊感商法などの詐欺的行為に走る者が増えていることも、現代の何とも痛ましい現状です。

当店・御香所燕雀殿は、

現実的な価値観と
伝統文化・精神的価値観の橋渡し

をコンセプトに、両価値観のバランス感覚をきちんと保ち続けながら

手づくり

天然香木の使用と自然への敬意

を信念に掲げ、この現代を生き抜く私たちの「心の支え」になるようなお香の製作・販売をしています。

そして、小売販売店としてだけでなく

科学的な脳や意識機能の側面の研究データも踏まえた講座やお香体験ワークショップの開催も
定期的に企画・開催しております。講座やワークショップに関しては、「その他サービス」のページをごらんください。

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